今週のニュースレターでは、ライトニングアドレスに似た特定のDNSアドレスを使用して LNオファーを取得できるようにする提案を掲載しています。また、サービスとクライアントソフトウェアの変更や、 新しいリリースとリリース候補の発表、人気のあるBitcoinインフラストラクチャソフトウェアの注目すべき変更など 恒例のセクションも含まれています。

ニュース

  • オファー互換のLNアドレス: Bastien Teinturierは、 オファープロトコルの機能を活用した方法で、 LNユーザー向けにemail形式のアドレスを作成することについてLightning-Devメーリングリストに投稿しました。 背景として、LNURLをベースにした一般的なライトニングアドレスの規格が存在します。 この規格では、email形式のアドレスをLNインボイスと関連付けるのに、常時利用可能なHTTPサーバーを稼働させる必要があります。 Teinturierは、これによっていくつかの問題が生じると指摘しています:

    • プライバシーの欠如: サーバーの運営者が支払人と受取人のIPアドレスを知る可能性があります。

    • 盗難のリスク: サーバーの運営者が資金を盗むために中間者インボイスを作成する可能性があります。

    • インフラと依存関係: サーバーの運営者はDNSとHTTPSのホスティング環境をセットアップする必要があり、 支払人のソフトウェアはDNSとHTTPSを使用できなければなりません。

    Teinturierは、オファーに基づいた3つの設計案を提示しています:

    • ドメインとノードのリンク: DNSレコードは、ドメイン(例:example.com)を LNノード識別子にマッピングします。支払人は最終的な受信者(例:alice@example.com)へ オファーを要求するオニオンメッセージをそのノードに送信します。 ドメインノードは、そのノードの鍵で署名されたオファーで応答します。 この時アリスからのものではないオファーを提供した場合、支払人は後で詐欺を証明することができます。 支払人はオファープロトコルを使用してアリスからインボイスを要求できるようになります。 支払人は、alice@example.comをオファーに関連付けることもできるため、 アリスへの今後の支払いのためにドメインノードに連絡する必要がなくなります。 Teinturierは、この設計は非常にシンプルだと指摘しています。

    • ノードアナウンスにおける証明書: LNノードがネットワークに自分自身を告知するために使用する既存の仕組みを変更し、 (認証局により)example.comの所有者が、この特定のノードがalice@example.comによって管理されていることを証明する SSL証明書チェーンを告知に含めることができるようにします。Teinturierは、 これにはLNの実装がSSL互換の暗号を実装する必要があると指摘しています。

    • オファーをDNSに直接格納する: ドメインは、特定のアドレスに対するオファーを直接格納する複数のDNSレコードを持つことができます。 たとえば、DNSのTXTレコードalice._lnaddress.domain.comにはアリスのオファーが含まれ、 別のレコードbob._lnaddress.domain.comにはボブのオファーが含まれます。 Teinturierは、このためには、ドメインの所有者がユーザー毎に1つのDNSレコードを作成する必要があると指摘しています( ユーザーがデフォルトのオファーを変更する必要がある場合は、レコードを更新します)。

    このメールは活発な議論を起こしました。注目すべき提案の1つは、 1つめと3つめの提案(ドメインをノードにリンクする提案と、オファーをDNSに直接格納する提案)の 両方を使用できるようにする可能性があるというものでした。

サービスとクライアントソフトウェアの変更

この毎月の特集では、Bitcoinのウォレットやサービスの興味深いアップデートを取り上げています。

  • BitMask Wallet 0.6.3リリース: BitMaskは、Bitcoinおよびライトニング、RGB、Payjoin用の ウェブとブラウザ拡張ベースのウォレットです。

  • Opcodeのドキュメントウェブサイトの発表: Bitcoinの多数のopcodeの説明を提供するウェブサイトhttps://opcodeexplained.com/が最近発表されました。 この取り組みは進行中で、貢献を歓迎します

  • Athena Bitcoinがライトニングのサポートを追加: Bitcoin ATMの運営会社は最近、現金の引き出しのために、 ライトニング支払いの受信のサポートを発表しました

  • Blixt v0.6.9リリース: v0.6.9のリリースでは、Simple Taproot Channelのサポート、 bech32m受信アドレスのデフォルト設定、 ゼロ承認チャネルのサポートが追加されました。

  • Durabitホワイトペーパーの発表: Durabitのホワイトペーパーでは、 タイムロックされたBitcoinトランザクションとChaumianスタイルの発行を組み合わせて使用し、 大容量ファイルをシードするためにインセンティブを与えるプロトコルの概要が説明されています。

  • BitStreamホワイトペーパーの発表: BitStreamのホワイトペーパー初期プロトタイプは、 検証とFraud Proofを備えたタイムロックとマークルツリーを使用した デジタルコンテンツのホスティングとコインのアトミックスワップを行うプロトコルの概要が説明されています。 有料データ転送プロトコルに関する以前の議論については、ニュースレター #53を参照。

  • BitVMの概念実証 BitVMに基づいて構築された2つの概念実証が投稿されました。 1つはBLAKE3ハッシュ関数を実装しもう1つはSHA256を実装しています

  • BitkitがTaprootの送信をサポート: モバイルのBitcoinおよびライトニングウォレットであるBitkitは、 v1.0.0-beta.86のリリースでTaprootの送信をサポートを追加しました。

リリースとリリース候補

人気のBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの新しいリリースとリリース候補。 新しいリリースにアップグレードしたり、リリース候補のテストを支援することを検討してください。

注目すべきコードとドキュメントの変更

今週のBitcoin CoreCore LightningEclairLDKLNDlibsecp256k1Hardware Wallet Interface (HWI)Rust BitcoinBTCPay ServerBDKBitcoin Improvement Proposals(BIP)Lightning BOLTsおよび Bitcoin Inquisitionの注目すべき変更点。

  • Core Lightning #6857は、RESTインターフェースに使用されるいくつかの設定オプションの名前を更新し、 c-lightning-restプラグインと競合しないようにしました。

  • Eclair #2752により、オファー内のデータが、 公開鍵またはチャネルの1つの識別子を使用してノードを参照できるようになります。 公開鍵はノードを識別する一般的な方法ですが、33バイトを使用します。 チャネルはBOLT7のショートチャネルID(SCID)を使用して識別でき、この場合8バイトしか使用しません。 チャネルは2つのノードで共有されるため、2つのノードのうちの1つを特定するための追加ビットがSCIDの先頭に付加されます。 オファーはサイズに制限のあるメディアで使用されることが多いため、これによりスペースが大幅に節約されます。