今週のニュースレターでは、新しいLNチャネルアナウンスの提案のアップデートと、 PSBTでサイレントペイメントを送信するためのBIPについて掲載しています。 また、Bitcoin Stack Exchangeで人気の質問とその回答や、新しいリリースとリリース候補の発表、 人気のあるBitcoinインフラストラクチャソフトウェアの注目すべき変更など恒例のセクションも含まれています。

ニュース

  • チャネルアナウンス提案バージョン1.75のアップデート Elle Moutonは、Simple Taproot Channelの通知をサポートする 新しいチャネルアナウンスプロトコルで提案されている いくつかの変更についての説明をDelving Bitcoinに投稿しました。 最も重要な変更は、メッセージで現在のスタイルのP2WSHチャネルもアナウンスできるようにすることです。 これにより、ノードは「ネットワークのほとんどがアップグレードしたと思われる時に、[…] レガシープロトコルを切り替え始める」ことができるようになります。

    最近議論された別の追加事項(ニュースレター #325参照)は、 アナウンスにSPVプルーフを含めるようにすることで、 最大のProof of Workを持つブロックチェーンのヘッダーをすべて持っているクライアントであれば、 チャネルのファンディングトランザクションがブロックに含まれていることを検証できるようにすることです。 現在、軽量クライアントがチャネルアナウンスで同レベルの検証を行うには、 ブロック全体をダウンロードする必要があります。

    Moutonの投稿では、既存のSimple Taproot Channelのオプトインアナウンスについても簡単に触れています。 現在、非P2WSHチャネルのアナウンスがサポートされていないため、 既存のすべてのTaproot Channelはアナウンスされていません。 この提案に追加される可能性のある機能は、アナウンスされていないチャネルを公開チャネルに変換したいことを ノードがピアに知らせることができるようにする機能です。

  • PSBTでサイレントペイメントを送信するBIPのドラフト: Andrew Tothは、 ウォレットと署名デバイスがPSBTを使用して サイレントペイメントの作成を調整できるようにするためのBIPのドラフトを Bitcoin-Devメーリングリストに投稿しました。 これは、以前のBIPのドラフトに関する議論の続きです(ニュースレター#304および#308参照)。 以前のニュースレターで言及したように、サイレントペイメントは、 他のほとんどのPSBT調整トランザクションに比べて特別な要件があり、 完全に署名されていないトランザクションのインプットに変更を加えた場合、 アウトプットを修正する必要があります。

    ドラフトでは、署名者がトランザクション内のすべてのインプットの秘密鍵にアクセスできるという、 予想される最も一般的な状況のみに対処しています。複数の署名者がいるあまり一般的ではない状況についてTothは、 「これは後続のBIPで定義される」と書いています。

Bitcoin Stack Exchangeから選ばれたQ&A

Bitcoin Stack ExchangeはOptech Contributor達が疑問に対して答えを探しに(もしくは他のユーザーの質問に答える時間がある場合に)アクセスする、 数少ない情報ソースです。この月刊セクションでは、前回アップデート以降にされた、最も票を集めた質問・回答を紹介しています。

リリースとリリース候補

人気のBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの新しいリリースとリリース候補。 新しいリリースにアップグレードしたり、リリース候補のテストを支援することを検討してください。

  • Core Lightning 24.08.2は、この人気のLN実装のメンテナンスリリースで、 「いくつかのクラッシュの修正と、支払いのためのチャネルヒントを記憶および更新する機能強化が含まれています」。

注目すべきコードとドキュメントの変更

最近のBitcoin CoreCore LightningEclairLDKLNDlibsecp256k1Hardware Wallet Interface (HWI)Rust BitcoinBTCPay ServerBDKBitcoin Improvement Proposals(BIP)Lightning BOLTsBitcoin InquisitionおよびBINANAsの注目すべき変更点。

  • Eclair #2925では、新しいrbfsplice APIコマンドを介して スプライシングトランザクションでRBFを使用するためのサポートが導入されました。 このコマンドは、ピアがトランザクションの置換に同意するためのtx_init_rbfおよびtx_ack_rbfメッセージの交換をトリガーします。 この機能は、ゼロ承認チャネルでの資金の盗難を防止するため、 非ゼロ承認チャネルでのみ有効です。未承認のスプライシングトランザクションのチェーンは、 ゼロ承認チャネルでは許可されますが、非ゼロ承認チャネルでは許可されません。 さらに、Liquidity Adsプロトコルを介した流動性購入トランザクションではRBFがブロックされ、 売り手が支払いを受け取ることなくチャネルに流動性を追加する可能性があるエッジケースを回避します。

  • LND #9172では、決定論的なmacaroon(認証トークン)の生成のために、 lncli createコマンドとlncli createwatchonlyコマンドに新しくmac_root_keyフラグを追加し、 LNDが初期化される前に外部の鍵をLNDをノードに組み込むことができるようになりました。 これは、LND #8754ニュースレター #172参照)で提案されている リバースリモート署名者のセットアップと組み合わせると便利です。

  • Rust Bitcoin #2960は、ChaCha20-Poly1305認証付き暗号(AEAD)アルゴリズムを 独自のクレートに変更し、payjoin V2など、 BIP324で定義されたv2トランスポートプロトコル以外でも使用できるようにします。 コードは、さまざまなユースケースでパフォーマンスを向上させるために、 SIMD(Single Instruction, Multiple Data)命令用に最適化されています(ニュースレター #264参照)。