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Bitcoin Optech Newsletter #188
今週のニュースレターでは、手数料の引き上げ方法とトランザクション手数料のスポンサーシップに関する議論、
LNゴシップワイヤープロトコルの更新の提案、OP_CHECKTEMPLATEVERIFY
のテスト用のsignetの発表について掲載しています。
また、Bitcoin Stack Exchangeから厳選された質問と回答や、
人気のあるBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの注目すべき変更点についての説明など、
恒例のセクションも含まれています。
ニュース
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● 手数料の引き上げ方法とトランザクション手数料のスポンサーシップ: 数週間前に始まったReplace-By-Feeの議論(ニュースレター #186参照)とは別に、 今週James O’Beirneは、手数料の引き上げ方法について議論を始めました。 特に、O’Beirneは、提案されているトランザクションリレーポリシーの変更の一部が、 ユーザーやウォレット開発者にとって手数料の引き上げ方法を複雑にしてしまうことを懸念しています。 代替案として、彼は(以前ニュースレター #116で紹介した) トランザクション手数料のスポンサーシップについて改めて検討することを求めています。
このアイディアはメーリングリスト上で大きな議論をよび、 多くの回答が手数料のスポンサーシップの実装の課題に言及しています。
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● LNゴシップの更新提案: Rusty Russellは、 Lightning-Devメーリングリストに、ニュースレター #55に掲載した2019年の彼の提案と同様の、 新しいLNゴシップメッセージのセットに関する詳細な提案を投稿しました。 新しい提案では、BIP340形式のSchnorr署名とx-only public keyが使用されています。 また、ルーティング用にパブリックチャネルの存在を通知するために使用される既存のLNゴシッププロトコルに対する多くの簡略化も含まれています。 更新されたプロトコルは、特にErlayのようなMinisketchベースの効率的なゴシッププロトコルと組み合わせた場合に、 効率が最大化するよう設計されています。
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● CTV signet: Jeremy Rubinは、 OP_CHECKTEMPLATEVERIFYを有効にしたsignetのパラメーターとコードを公開しました。 これにより、提案されたopcodeの公開実験が簡単になり、そのコードを使用する異なるソフトウェア間の互換性をテストすることが容易になりました。
Bitcoin Stack Exchangeから選ばれたQ&A
Bitcoin Stack ExchangeはOptech Contributor達が疑問に対して答えを探しに(もしくは他のユーザーの質問に答える時間がある場合に)アクセスする、 数少ない情報ソースです。この月刊セクションでは、前回アップデート以降にされた、最も票を集めた質問・回答を紹介しています。
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● 報酬がなくなった後のトランザクションを含まないブロックにコインベーストランザクションは含まれますか? Pieter Wuilleは、すべてのブロックにコインベーストランザクションが必要であり、 すべてのトランザクションには少なくとも1つのインプットとアウトプットが必要であるため、 (手数料も報酬もない)ブロック報酬のないブロックでも、少なくとも1つの値0のアウトプットが必要になると説明しています。
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● Scriptが無効なのにどうしてジェネシスブロックに任意のデータを入れることができるのですか? Pieter Wuilleは、ジェネシスブロックのコインベースの”Chancellor…“というテキストのプッシュが有効な理由を説明しています。 まず、ジェネシスブロックは定義上有効です。 次に、コインベースのインプットのScriptが実行されることはありません。 3つめに、非Taprootのインプットの場合、実行後のスタックに単一の要素のみ残るというのは、コンセンサスルールではなくポリシーのルールに過ぎません。 最後に、このポリシールールは、インプットのScriptが対応するアウトプットのScriptと一緒に実行された後の最終的なスタックにのみ適用されます。 コインベーストランザクションのインプットには対応するアウトプットScriptが存在しないため、このポリシーは適用されません。 Wuilleは、また、ジェネシスブロックが使用不可能な理由は、今回の議論とは無関係であり、 オリジナルのBitcoinソフトウェアが内部のデータベースにジェネシスブロックを追加していないことが関係していると指摘しています。
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● Feeler Connectionとは何ですか?どんな時に使われますか? ユーザーvnprcは、デフォルトの8つのアウトバウント接続と2つのブロックオンリーのアウトバウント接続とは別の、 一時的なアウトバウント接続であるBitcoin CoreのFeeler Connectionの目的について説明しています。 Feeler Connectionは、ゴシップネットワークから提案された新しいピアの可能性をテストしたり、 排除の候補となる以前到達できなかったピアをテストするために使用されています。
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● OP_RETURNトランザクションは、chainstateデータベースに保存されないのですか? Antoine Poinsotは、
OP_RETURN
アウトプットは使用不可能であるため、 chainstateディレクトリには保存されないと指摘しています。
注目すべきコードとドキュメントの変更
今週のBitcoin Core、 C-Lightning、Eclair、LND、 Rust-Lightning、libsecp256k1、 Hardware Wallet Interface (HWI)、 Rust Bitcoin、BTCPay Server、 BDK、Bitcoin Improvement Proposals(BIP)、および Lightning BOLTsの注目すべき変更点。
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● Bitcoin Core #24307は、
getwalletinfo
RPCのresultオブジェクトをexternal_signer
フィールドで拡張しています。 この新しいフィールドは、ウォレットがハードウェア署名デバイスのような外部署名者を使用するよう設定されているかどうかを示します。 -
● C-Lightning #5010では、言語バインディング生成ツール
MsgGen
とRustのRPCクライアントcln-rpc
が追加されました。MsgGen
は、C-LightningのJSON-RPCスキーマを解析し、cln-rpc
がC-LightningのJSON-RPCインターフェースを正しく呼び出すために使用されるRustのバインディングを生成します。 -
● LDK #1199は、複数のノードのうちどれでも受け入れ可能な支払いでロードバランシングに使用することができる”ファントムノード支払い”のサポートを追加しました。 これは、同じ存在しない(ファントム)ノードへの複数の経路を提案するBOLT11のルートヒントを使用してLNインボイスを作成する必要があります。 各経路において、ファントムノードに到達する前の最後のホップは、 ステートレスインボイスの復号化および再構築が可能な(ニュースレター #181参照) ファントムノードの鍵を知っている実ノードで、支払いのHTLCの受け入れが可能です。