今週のニュースレターでは、いくつかのIRCチャンネルのネットワークの変更の発表とともに、 Optechの150回目のニュースレターを記念しています。 また、Bitcoin Stack Exchangeの人気のある質問と回答や新しいソフトウェアのリリースとリリース候補、 人気のあるBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの注目すべき変更などの恒例のセクションも含まれています。

ニュース

  • IRCチャンネルがLibera.Chatに移動: 毎週開催されているBitcoin Core開発者ミーティングで、 5月27日(木)のミーティングがFreenodeネットワークで行われる最後のミーティングになることが決まりました。 Botやログ、その他のインフラ、今後のミーティングおよび一般的な議論はLibera.Chatネットワークの#bitcoin-core-devに移行します。 このニュースレターの発行直前に起きたFreenodeの管理者のアクションにより、水曜日の早朝(UTC)に移行されるようです。 BitcoinやLNに関連する他のいくつかのチャンネルも移動しています。 さまざまなチャンネルの現在のネットワークを見つける場合は、 Bitcoin WikiのIRCチャンネルのリストをご覧くさだい。 移行するチャンネルを運営していて、そのリストを自分で更新するためのWikiアカウントを持っていない場合は、 Liberaの#bitcoin-wikiで編集者に知らせてください。

Optech Newsletter #150 記念

Optech創設者であるJohn Newberyより

これは、Bitcoinの技術コミュニティに向けて書いてきた150回めのOptech週刊ニュースレターです。 クリスマス休暇前後の短いお休みだけで、2018年6月から毎週、 BitcoinやLightningの開発における最も重要な出来事のダイジェストを発行してきました。

Optechは、Bitcoin関連の企業がBitcoinのスケーリングを可能にする技術を採用するのを支援すること、 そしてオープンソースのBitcoinコミュニティで行われている凄い技術的な研究を紹介するという、 とてもシンプルな目標を掲げてスタートしました。 3年前にはそれがどんな形になるのか正確に予測はできませんでしたが、 それは私たちが信じ続けているミッションであり、私たちがすべき仕事の指針となっています。 2018年6月から私たちは:

ニュースレターは多くの協力者の手によって作られています。 中でもコンテンツの大半を執筆しているDave Hardingは、その筆頭格です。 Daveが多くの執筆をしているというのは控えめな表現で、彼は毎週のように Bitcoinのエコシステムで起きている非常に多様な研究開発の簡潔で分かりやすい要約を作成しています。 私たちは、彼のような知識を持ち、献身的で謙虚な姿勢を持つ人物がBitcoinを記録してくれることを幸運に思います。 Optechやその他のプロジェクトのために彼が制作した広範な作品は、 現在そして未来のすべてのビットコイナーにとって大きな財産になります。

サポート役は他のOptecherが努めています。Mike Schmidtは、 Stack ExchangeのQ&AとBitcoinソフトウェアとインフラストラクチャの注目すべき変更の恒例のセクションを執筆し、 ニュースレターを時間どおりに皆さんに届けます。Jon Atackは、恒例のBitcoin Core PR Review Clubの要約を担当しています。 MikeやJonと同じく、Carl DongAdam JonasMark Erhardtそして私が、時折、 PRの要約を寄稿し、毎週のニュースレターをレビューし作成するコンテンツが正確でかつ明確であるよう努めています。

ニュースレターを日本語に翻訳してくださっているShigeyuki Azuchi、 そして日本語の資料を翻訳しレビューしてくださっているAkio Nakamuraに感謝します。

ニュスレーターをレビューし、コンセプトの理解を支援し、間違いがあったときに課題やPRを作成してくださった、 個別に名前を挙げるのが難しいほど多くのBitcoinコミュニティのメンバーに感謝します。

これらのすべての作業は、設立スポンサーであるWences Casaresや、 John Pfeffer、Alex Morcosを中心とした寛大な支援者によって支えられています。

最後に、読者の皆さま、ありがとうございます。私たちは、このコミュニティの一員として このエコシステムに寄与することを嬉しく思っています。このリソースが多くの人にとってどれほど価値があるかを知り、 読者からのフィードバックを聞くことは私たちにとって、とてもやりがいのあることです。 協力したいとお考えの方、より良くするためのご提案をお持ちの方は、 遠慮なくinfo@bitcoinops.orgまでご連絡ください。

Bitcoin Stack Exchangeから選ばれたQ&A

Bitcoin Stack ExchangeはOptech Contributor達が疑問に対して答えを探しに(もしくは他のユーザーの質問に答える時間がある場合に)アクセスする、 数少ない情報ソースです。この月刊セクションでは、前回アップデート以降にされた、最も票を集めた質問・答えを紹介しています。

リリースとリリース候補

人気のBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの新しいリリースとリリース候補。 新しいリリースにアップグレードしたり、リリース候補のテストを支援することを検討してください。

  • Eclair 0.6.0は、ユーザーのセキュリティとプライバシーを強化するいくつかの改良を加えた新しいリリースです。 また、Taprootアドレスを使用する可能性のある将来のソフトウェアとの互換性も提供しています。

  • LND 0.13.0-beta.rc3は、プルーニングされたBitcoinフルノードの使用をサポートし、 Atomic MultiPath (AMP)を使用した支払いの送受信を可能にし、 PSBT機能の向上、その他の改善およびバグ修正を行ったリリース候補です。

注目すべきコードとドキュメントの変更

今週のBitcoin CoreC-LightningEclairLNDRust-Lightninglibsecp256k1Hardware Wallet Interface (HWI)Rust BitcoinBTCPay ServerBitcoin Improvement Proposals(BIP)、および Lightning BOLTsの注目すべき変更点。

  • Bitcoin Core #21843では、getnodeaddresses RPCをにnetwork引数を追加しています。 この引数にサポートされているネットワークタイプ (ipv4ipv6onionもしくはi2p)をセットしてgetnodeaddressesを呼ぶと、 指定されたネットワークの既知のアドレスのみが返されます。 network引数なしで呼び出されると、getnodeaddressesはすべてのネットワークの既知のアドレスを返します。

  • Eclair #1810では、ピアがpayment_secret feature bitを通知し準拠することを必須にしています。 Payment Secret機能は、受信者の非匿名化攻撃を阻止し、 不適切なイメージの公開に対する追加の保護を提供します。 この機能はすべての主要な実装でサポートされており、LNDRust-Lightningへの支払いには必須です。

  • Eclair #1774は、Javaの組み込みSecureRandom() CSPRNG関数を、 より弱いランダム性の2次ソースで拡張しています。弱いランダム性はハッシュされ、 ハッシュダイジェストが1次ランダム性とXORされるため、 将来何らかのバグが発見されSecureRandom()が予測可能な結果を生成した場合でも、 Eclairが引き続き十分なエントロピーを持ち、暗号演算が悪用されないままになる可能性があります。

  • BIPs #1089では、マルチシグパラメーターや、使用するアドレスタイプ、 その他のスクリプトレベルの詳細に関係なく、マルチシグウォレット用のBIP32パスの標準化されたセットを作成するという、 以前メーリングリストで議論された提案に、BIP87を割り当てています。 その代わり、提案されている標準のユーザーは、それらの詳細をoutput script descriptorに保存します。 これによりウォレットは、マルチシグのわずかな違いのために複数の異なる標準を実装したり(例:BIP45m/48'標準など)、 descriptorによって処理できるもののために新しい標準を作成したりする必要がなくなります。 標準化されたスクリプトではなくdescriptorを使用することは、 より多くのデータをバックアップする必要があることを意味しますが、実際のデータの差は小さく、 一般的なmultisig descriptorのデータのほとんどはマルチシグの参加者がバックアップする必要のある拡張公開鍵(xpub)です。 スクリプトテンプレートとdescriptorのチェックサムに関する追加情報は、比較するとわずかなオーバーヘッドしかありません。

  • BIPs #1025では、ウォレットがサポートすべきBIP32鍵導出パスを記述するための、 ニュースレター #105に掲載された標準フォーマットにBIP88を割り当てました。 パステンプレートは、ユーザーが使用したいパスを指定するためのコンパクトな方法を提供します。 パステンプレートはコンパクトなため、シードと一緒にテンプレートをバックアップすることが可能で、 ユーザーの資金喪失を防げます。提案されているパステンプレートの追加機能は、 導出制限を記述する機能です(例えば、ウォレットは特定のパスでは50,000個以上の鍵を導出してはならない)。 これにより、リカバリー処理で受け取ったビットコインを可能な限りスキャンするのが実用的になり、 HDウォレットのGapリミットに関する懸念を解消することができます。

  • BIPs #1097では、ニュースレター #136に掲載したBitcoin Secure Multisig Setup (BSMS)にBIP129を割り当てており、ウォレット、特にハードウェア署名デバイスが、 マルチシグウォレットの署名者になるために必要な情報を安全に交換する方法を説明しています。 交換が必要な情報には、使用するスクリプトテンプレート(例:署名に2-of-3の鍵が必要なP2WSH)や、 署名に使用する予定のキーパスにある各署名者のBIP32拡張公開鍵(xpub)が含まれます。 プロトコルはコーディネーターが必要な情報を収集してoutput script descriptorを作成し、 個々の署名者は自分の鍵が適切に含まれているかどうかを検証します。