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Bitcoin Optech Newsletter #389
今週のニュースレターでは、ペイメントチャネルネットワークの研究に関する論文のリンクを掲載しています。 また、サービスとクライアントソフトウェアの最新アップデート、新しいリリースとリリース候補の発表、 人気のBitcoin基盤ソフトウェアの注目すべき更新など、恒例のセクションも含まれています。
ニュース
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● ペイメントチャネルネットワークの数学的理論: René Pickhardtは、 「A Mathematical Theory of Payment Channel Network」と題した新しい論文の公開について Delving Bitcoinに投稿しました。この論文でPickhardtは、長年の研究を通じて得られた複数の観察結果を 単一の幾何学的枠組みの下にまとめています。特にこの論文は、チャネルの枯渇(ニュースレター #333参照)や 2者間のチャネルの資本効率性といった一般的な現象を分析し、 それらがどのように相互に関連しているのか、またなぜそうなるのかを評価することを目的としています。
論文の主な貢献は以下のとおりです:
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チャネルグラフが与えられたライトニングネットワーク上のユーザーの実現可能な資産分布のモデル
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支払いの帯域幅の上限を推定するための公式
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支払いが実現可能である可能性を推定する方法 (ニュースレター #309参照)
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チャネル枯渇に対するさまざまな 緩和戦略の分析
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2者間のチャネルは、ネットワークのピア間の流動性の流れに強い制約を課すという結論
Pickhardtによると、研究から得られた洞察が、Arkをチャネルファクトリーとして使用することについての 最近の投稿(ニュースレター #387参照)の動機となったとのことです。 Pickhardtはまた、研究の基盤として使用したコード、ノートブック、論文のコレクションも提供しました。
最後に、Pickhardtは自身の研究がプロトコル設計にどのような影響を与えうるか、 またマルチパーティチャネルの最適な活用法について、LN開発者コミュニティからの質問やフィードバックを求めて 議論をオープンにしました。
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サービスとクライアントソフトウェアの変更
この毎月の特集では、Bitcoinのウォレットやサービスの興味深いアップデートを取り上げています。
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● サイレントペイメントのテスト用のElectrumサーバー: Frigate Electrum Serverは、BIP352のリモートスキャナーサービスを実装し、クライアントアプリケーションに サイレントペイメントのスキャン機能を提供します。 Frigateはスキャン時間を短縮するために最新のGPU計算も使用しており、 多数の同時スキャンリクエストを処理するマルチユーザーインスタンスの提供にも役立ちます。
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● BDK WASMライブラリ: bdk-wasmライブラリは、もともとMetaMask組織によって開発・使用されていたもので、WebAssembly (WASM)をサポートする環境でBDKの機能へのアクセスを提供します。
リリースとリリース候補
人気のBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの新しいリリースとリリース候補。 新しいリリースにアップグレードしたり、リリース候補のテストを支援することを検討してください。
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● Core Lightning 25.12.1は、v25.12で作成されたノードが、 非P2TRアドレスに送金された資金を使用できないという重大なバグ(下記参照)を修正したメンテナンスリリースです。 また、v25.12で導入された新しいニーモニックベースの
hsm_secretフォーマット(ニュースレター #388参照)における リカバリおよびhsmtoolの互換性の問題も修正しています。 -
● LND 0.20.1-beta.rc1は、ゴシップメッセージ処理のpanicリカバリーの追加、 再編成(reorg)保護の改善、LSP検出ヒューリスティックの実装、 複数のバグと競合状態の修正を含むマイナーバージョンのリリース候補です。 詳細はリリースノートをご覧ください。
注目すべきコードとドキュメントの変更
最近のBitcoin Core、Core Lightning、Eclair、LDK、 LND、libsecp256k1、Hardware Wallet Interface (HWI)、Rust Bitcoin、BTCPay Server、BDK、Bitcoin Improvement Proposals(BIP)、Lightning BOLTs、 Bitcoin InquisitionおよびBINANAsの注目すべき変更点。
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● Bitcoin Core #32471は、
private=trueパラメーターを指定してlistdescriptorsRPCを呼び出した際(ニュースレター#134および #162参照)、いずれかのディスクリプターに秘密鍵が欠けていると失敗するバグを修正しました。この問題は、 非監視専用と監視専用の両方のディスクリプターを含むウォレットおよび、 すべての秘密鍵を持たないマルチシグディスクリプターに影響していました。このPRにより、 RPCは利用可能な秘密鍵を正しく返すようになり、ユーザーが適切にバックアップできるようになりました。 厳密には、監視専用ウォレットでlistdescriptors private=trueを呼び出すと失敗します。 -
● Bitcoin Core #34146は、ノードの最初の自己アナウンスを自身のP2Pメッセージで送信することで、 アドレスの伝播を改善します。これまでは、自己アナウンスはピアの
getaddr要求への応答として 複数の他のアドレスにバンドルされていたため、破棄されたり他のアドレスが置き換えられたりする可能性がありました。 -
● Core Lightning #8831は、v25.12で作成されたノードが 非P2TRアドレスに送金された資金を利用できないという重大なバグを修正しました。 これらのノードではすべてのアドレスタイプがBIP86に基づいて導出されていましたが、 署名コードはP2TRアドレスに対してのみBIP86を使用していました。このPRにより、 すべてのアドレスタイプで署名にBIP86導出が使用されるようになります。
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● LDK #4261は、同一トランザクション内でスプライス・インとスプライス・アウトを同時に行える ミックスモードスプライシングをサポートしました。ファンディングインプットは、 スプライス・インの場合と同様に適切な手数料を支払います。スプライス・アウトされる金額が、 スプライス・インされる金額より多い場合、正味の金額はマイナスになる可能性があります。
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● LDK #4152は、ブラインドペイメントパスにダミーホップをサポートしました。 これはニュースレター #370で追加されたブラインドメッセージパスの機能と並行しています。 ホップを追加すると、受信ノードまでの距離やIDの特定が大幅に困難になります。 これを可能にする以前の作業についてはニュースレター #381をご覧ください。
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● LND #10488は、
fundMaxオプション(ニュースレター #246参照)を使って開設されたチャネルが、 ユーザー設定のmaxChanSize設定(ニュースレター #116参照)によってサイズが制限されるバグを修正しました。 この設定は本来、受信チャネルリクエストのみを制限することを意図したものです。このPRにより、fundMaxオプションは、ユーザーとピアがラージチャネルをサポートしているかどうかに応じて、 プロトコルレベルの最大チャネルサイズを使用するようになりました。 -
● LND #10331は、チャネルサイズに基づいてスケールする承認要件を使用することで、 チャネルの閉鎖がブロックチェーンの再編成を処理する方法を改善しました。 最小は1承認で、最大は6承認です。チェーンウォッチャーは、ブロックチェーンの再編成をより適切に検出し、 そのようなシナリオで競合するチャネルクローズトランザクションを追跡するためのステートマシンの導入により刷新されました。 このPRはまた、ネガティブな承認(承認済みトランザクションが後で再編成により取り消される場合)の監視を追加しましたが、 それらの処理方法は未解決のままです。このPRは、2016年からのLNDの最も古い課題に対処するものです。
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● Rust Bitcoin #5402は、CVE-2018-17144に関連して、 重複するインプットを持つトランザクションを拒否するためのデコード時の検証を追加しました。 同じアウトポイントを使用する複数のインプットを含むトランザクションは、コンセンサスにより無効です。
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● BIPs #1820は、
DeployedステータスでBIP3を更新し、 BIP(Bitcoin Improvement Proposal)プロセスのガイドラインとしてBIP2を置き換えました。 詳細は、ニュースレター #388をご覧ください。 -
● BOLTs #1306は、BOLT12仕様において、
offer_chainsフィールドが空のオファーは拒否しなければならないことを明確化しました。このフィールドが存在するものの、 チェーンハッシュが含まれていないオファーの場合、支払人がinvreq_chainをoffer_chainsのいずれかに設定するという要件を満たせないため、インボイスリクエストが不可能になります。 -
● BLIPs #59は、(LSPS1としても知られる)BLIP51を更新し、 既存のBOLT11およびオンチェーンオプションに加えて、LSP(Lightning Service Provider)への支払いのオプションとしてBOLT12オファーのサポートを追加しました。 これは以前LDKで実装されています(ニュースレター #347参照)。