今週のニュースレターでは、コンパクトブロック再構築に関する議論の最新情報と、 BIP3のアクティベートの要請を掲載しています。また、Bitcoin Stack Exchangeでよくある質問とその回答や、 新しいリリースとリリース候補の発表、人気のあるBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの注目すべき更新など 恒例のセクションも含まれています。

ニュース

  • コンパクトブロック再構築に関する統計の更新: 0xB10Cは、コンパクトブロック再構築に関する統計について(ニュースレター#315および#339参照)、 Delving Bitcoinにその更新を投稿しました。 0xB10Cはコンパクトブロック再構築について3つ更新情報を提供しています。

    • David Gumbergからの以前のフィードバックに応えて、 要求されたトランザクションの平均サイズ(kB単位)の追跡を始めました。

    • 自身のノードの1つをBitcoin Core #33106で引き下げられたminrelayfee設定を適用し、更新後、 そのノードのブロック再構築率は大幅に改善しました。また、要求されたトランザクションの平均サイズズ(kB単位)にも改善が見られました。

    • その後、他のノードもminrelayfeeを引き下げて実行するように切り替えたことで、 ほとんどのノードで再構築率が向上し、ピアに要求するデータ量が減少しました。 彼はまた、後から考えると、すべてのノードをアップデートせず、一部のノードをv29のままにしておけば、 ノードのバージョンや設定の比較が容易になっただろうと述べています

    全体として、minrelayfeeの廃止により、ブロック再構築率が向上し、ピアに要求されるデータも減少しました。

  • BIP3のアクティベーション動議: Murchは、BIP3ニュースレター #341参照)を アクティベートするための正式な動議をBitcoin-Devメーリングリストに投稿しました。 この改善提案の目的は、新しいBIPを準備するための新しいガイドラインを提供し、 現在のBIP2プロセスを置き換えることです。

    作者によると、7ヶ月以上「Proposed」ステータスにあるこの提案には、未対応の異議はなく、 BIPs #1820上ではコントリビューターによるACKが増え続けています。 そのため、プロセスBIPをアクティベートするためにBIP2で規定された手順に従い、 彼は2025年12月2日までの4週間の猶予を与え、その期間内に提案を評価し、PRにACKを付けるか、 懸念を表明して異議を唱えるためようにしました。この期限以降、BIPプロセスはBIP2に代わりBIP3になります。

    スレッドでは、主にBIP提出プロセスにおけるAI/LLMツールの使用に関する(ニュースレター #378参照) 軽微な異議がいくつか定期されており、作者は現在この課題に対応中です。 Optechの読者には、この提案に目を通してフィードバックの提供をお願いします。

Bitcoin Stack Exchangeから選ばれたQ&A

Bitcoin Stack ExchangeはOptech Contributor達が疑問に対して答えを探しに(もしくは他のユーザーの質問に答える時間がある場合に)アクセスする、 数少ない情報ソースです。この月刊セクションでは、前回アップデート以降にされた、最も票を集めた質問・回答を紹介しています。

リリースとリリース候補

人気のBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの新しいリリースとリリース候補。 新しいリリースにアップグレードしたり、リリース候補のテストを支援することを検討してください。

  • LND v0.20.0-betaは、この人気のLNノード実装のメジャーリリースで、 複数のバグ修正や、新しいNoopAddHTLCタイプ、 BOLT11インボイスにおけるP2TRフォールバックアドレスのサポート、 多くのRPCおよびlncli機能の追加と改善が含まれています。詳しくはリリースノートをご覧ください。

  • Core Lightning v25.12rc1は、この主要なLNノード実装の新しいバージョンのリリース候補で、 新しいバックアップ方法としてBIP39ニーモニックシードフレーズの追加や、 xpayの改善、ピアのすべてのチャネルを優先または非優先にするaskrene-bias-nodeRPCコマンド、 ピアに関する情報にアクセスするためのnetworkevents、 実験的なJITチャネルサポート用のexperimental-lsps-clientおよび experimental-lsps2-serviceオプションが追加されています。

注目すべきコードとドキュメントの変更

最近のBitcoin CoreCore LightningEclairLDKLNDlibsecp256k1Hardware Wallet Interface (HWI)Rust BitcoinBTCPay ServerBDKBitcoin Improvement Proposals(BIP)Lightning BOLTsBitcoin InquisitionおよびBINANAsの注目すべき変更点。

  • Bitcoin Core #33872は、以前非推奨にされた-maxorphantxオプション(ニュースレター #364参照)を削除します。 このオプションを使用すると起動に失敗します。

  • Bitcoin Core #33629は、mempoolをクラスターに分割することで、 クラスターmempoolの実装を完了します。クラスターは、 デフォルトで101 kvBおよび64トランザクションに制限されます。各クラスターは、 手数料順のチャンク(サブクラスターの手数料順のグループ)に線形化されます。 これにより手数料の高いチャンクが最初にブロックテンプレートに含まれ、 mempoolがいっぱいになった際に手数料の低いチャンクが最初に削除されます。 このPRは、CPFP carve outルールと祖先/子孫の制限を削除し、 トランザクションリレーを更新して高い手数料率のチャンクを優先するようにします。 最後に、RBFルールを更新し、置換により新しい未承認インプットを導入できないという制限を削除し、 手数料率ルールはクラスター全体の手数料率ダイアグラムが改善することを要求するように変更され、 直接競合の制限は直接競合するクラスター制限に置き換えられます。

  • Core Lightning #8677は、RPCコマンドとプラグインコマンドの同時処理数を制限し、 読み取り専用コマンドの不要なデータベーストランザクションを削除し、 データベースクエリを再構築して数百万件のchainmoves/channelmovesイベントをより効率的に処理できるようにすることで、 大規模ノードのパフォーマンスを大幅に向上させます。このPRでは、 rpc_commandおよびcustommsgフックにfiltersオプションも導入され、 xpaycomandochanbackupのようなプラグインが特定の呼び出し時のみ登録できるようになりました。

  • Core Lightning #8546は、fundchannel_completewithholdオプション(デフォルトはfalse)を追加します。 このオプションは、sendpsbtが呼び出されるかチャネルが閉じられるまで、 チャネルファンディングトランザクションのブロードキャストを遅延させます。 これにより、LSPはユーザーがネットワーク手数料をカバーするのに十分な資金を提供するまでチャネルの開設を延期できます。 これは、JITチャネルclient-trusts-lspモードを有効にするために必要です。

  • Core Lightning #8682は、ブラインドパスの構築方法を更新し、 仕様で要求していない場合も、option_route_blindingに加えて、 ピアがoption_onion_messages機能を有効にしていることを要求するようにします。 これにより、この機能が有効になっていないLNDノードがBOLT12支払いの転送に失敗する問題が解決します。

  • LDK #4197は、再接続後にピアのchannel_reestablishメッセージに応答するために、 ChannelManagerに最新の2つの取り消されたコミットメントポイントをキャッシュします。 これにより、相手方が最大で1コミットメント分高さが前の状態である場合に、 潜在的にリモートの署名者からポイントをフェッチしてステートマシンを一時停止するのを回避できます。 ピアが異なる状態を提示した場合、署名者はコミットメントポイントを検証し、 状態が有効な場合はLDKがクラッシュし、無効な場合はチャネルを強制的に閉鎖します。 channel_reestablishに関するLDKの以前のアップデートについては、 ニュースレター#335#374および#371をご覧ください。

  • LDK #4234は、ChannelDetailsイベントとChannelPendingイベントにファンディングredeem scriptを追加します。 これにより、LDKのオンチェーンウォレットはチャネルのTxOutを再構築し、 スプライシングトランザクションの構築時に正確な手数料率を推定できます。

  • LDK #4148は、rust-bitcoinの依存バージョンを0.32.4(ニュースレター #324参照)に更新し、 testnet4をサポートし、lightningクレートおよびlightning-invoiceクレートの 最小サポートバージョンとしてこれを要求します。

  • BDK #2027は、TxGraphlist_ordered_canonical_txsメソッドを追加します。 このメソッドは、親トランザクションが常に子トランザクションの前に現れるトポロジカルな順序で正規化されたトランザクションを返します。 既存のlist_canonical_txsメソッドおよびtry_list_canonical_txsメソッドは、 新しい順序付けられたメソッドに置き換えられ、非推奨となります。BDKにおける以前の正規化作業については、 ニュースレター#335#346および#374をご覧ください。

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