今週のニュースレターでは、ソフトフォークのアクティベーションの仕組みであるSpeedy Trialについての議論と、 最適化されたLNの経路探索アルゴリズムのアップデートのリンクを掲載しています。 また、サービスやクライアントソフトウェアの最近の変更についての説明や、 人気のあるBitcoinインフラストラクチャソフトウェアの注目すべき変更の概要など、 恒例のセクションも含まれています。

ニュース

  • ● Speedy Trialに関する議論: 提案中のOP_CHECKTEMPLATEVERIFY opcodeに関する最近のミーティングの要約において、ソフトフォークのアクティベーション方法である Speedy Trialへの言及がありました。Jorge Timónが議論を呼ぶと思われるソフトフォークに対するSeedy Trialの使用に関して懸念を示した後、 Bitcoin-Devメーリングリストの別のスレッドにスピンオフして追加の議論が行われました。

    Russell O’Connorは、その懸念がこれまでどう対処されてきたかを説明しました。 Anthony Townsはさらに、望まないソフトフォークのアクティベーションにSpeedy Trialを使用した場合、 反対するユーザーによってどのように抵抗されるかを説明しました。

  • ● 支払い配送アルゴリズムのアップデート: René Pickhardtは、 Lightning-Devメーリングリストに、昨年発表した彼とStefan Richterの経路探索アルゴリズムについて、 より計算効率の良い近似を見つけたと投稿しました。 このアルゴリズムに関する以前の議論については、ニュースレター #163をご覧ください。

    Pickhardtのメールでは、スタックレス・ペイメントの実装や、 いくつかの学術論文で提案されている払い戻し可能な過払いを許容するなど、 迅速な支払いの成功を向上させる方法も提案しています。

サービスとクライアントソフトウェアの変更

この毎月の特集では、Bitcoinのウォレットやサービスの興味深いアップデートを取り上げています。

  • ● Coinswapの実装Teleport Transactionsの発表: Bitcoin-Devメーリングリストの最近の投稿で、 Chris Belcherは、Coinswapプロトコルを実装したTeleport Transactionsのαバージョン 0.1を発表しました。

  • ● JoinMarketがTaproot支払いを追加: JoinMarket v0.9.5では、bech32mアドレスへの支払い機能が追加されました。

  • ● Mercury WalletがRBFをサポート: Mercury Statechain用のウォレットであるMercury walletは、 引き出し用にReplace-by-Fee (RBF)によるトランザクションの置換のサポートを含む v0.6.5をリリースしました。

  • ● Hexa WalletがLightningをサポート: BitcoinのモバイルウォレットであるHexa Walletは、 v2.0.71のリリースで、 独自のノードを実行しているLNDユーザー向けにLightning Networkの機能を追加しました。

  • ● Sparrow がBIP47をサポート: Sparrow 1.6.0 (およびその後のsubsequent 1.6.1 と 1.6.2 リリース) では、 BIP47の再利用可能な支払いコードの機能とその機能の説明が追加されました。

リリースとリリース候補

人気のBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの新しいリリースとリリース候補。 新しいリリースにアップグレードしたり、リリース候補のテストを支援することを検討してください。

  • ● HWI 2.1.0-rc.1は、HWIのリリース候補で、 いくつかのハードウェア署名デバイスに対するTaprootのサポートと、 その他の改善およびバグ修正が追加されています。

注目すべきコードとドキュメントの変更

今週のBitcoin Core、 C-Lightning、Eclair、LDK、 LND、libsecp256k1、Hardware Wallet Interface (HWI)、Rust Bitcoin、BTCPay Server、BDK、Bitcoin Improvement Proposals（BIP）、およびLightning BOLTsの注目すべき変更点。

  • ● Eclair #2203は、非公開チャネルに、 公開チャネルで使用されるデフォルトとは異なる最小資金をユーザーが指定できるように、 設定パラメーターを追加しました。

  • ● LDK #1311は、BOLTs #910で提案されたShort Channel Identifier (SCID) aliasフィールドのサポートを追加しました。 これによりノードは、チャネルをアンカリングするオンチェーントランザクションから導出した値ではなく、 任意の値でチャネルを識別するようピアに要求することができるようになります。 これは、SCIDがノードが作成したトランザクションを第三者に開示することを防ぐため、 プライバシーの観点で有用です。また、ニュースレター #156で説明したように、 オプトインのゼロ承認チャネル（ターボチャネルとも呼ぶ）の仕様で使用することも提案されています。

  • ● LDK #1286では、BOLT7が推奨する支払いのルーティングに使用される CLTV (OP_CHECKLOCKTIMEVERIFY)の値にオフセットを追加しています。 これにより、支払いの一部を監視している誰か（例えば、支払いをルーティングしているノードの１つ）が、 どのノードが意図した受信者であるかを正しく推測することが難しくなります。

  • ● HWI #584では、BitBox02ハードウェア署名デバイスの最近のファームウェアバージョンを使用する場合に、 bech32mアドレスへの支払いをサポートしました。

  • ● HWI #581では、将来のファームウェアバージョンでTrezorを使用する場合、 外部インプット（例えばCoinJoinなど）を持つトランザクションの署名のサポートを無効にします。 このPRは、HWIがサポートを実現するために使用していた回避策を破壊するファームウェアの変更に従ったものです。 後続のPR (HWI #590) は、Trezorが将来そのようなトランザクションに署名する方法をユーザーに提供することを検討していることを示しているようです。

  • ● BDK #515では、内部データベースに使用済みのトランザクションアウトプットを保持するようにりました。 これは、置換トランザクションの作成に有用で、 BIP47の再利用可能な支払いコードの実装を簡素化します。